【実生】オペルクリカリア パキプス播種から1年間の育成記録【更新中】

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オペルクリカリア パキプス (Operculicarya pachypus) の実生の記録です。播種した2024年5月から1年間の成長の様子を記録します。

同じタイミングで播種した植物の一覧はこちら。

  • アガベ チタノタ ‘ブルー’
  • アガベ ホリダ
  • アガベ ユタエンシス ‘コンパクタ’
  • アガベ エボリスピナ ‘ヘイフォード’
  • オペルクリカリア パキプス
目次

種子の購入

根ざしや挿し木の株を購入するのも考えたんですが、せっかくなら1度は難しいとされている実生にチャレンジしてみたいなと思い、いつも通り種子をシードストックさんで購入。10個購入して予備分を含めた12個が送られてきました。

SEEDSTOCK
[種子] オペルクリカリア パキプス Operculicarya pachypusの商品情報 - SEEDSTOCK [種子] オペルクリカリア パキプス Operculicarya pachypus(塊根植物)を1,600円で販売しています。[種子] オペルクリカリア パキプス Operculicarya pachypusの詳細情報...

現地球を買うのに抵抗感があるのも理由の1つ。もし個人的には塊根や灌木を買うなら実生株がいいなと思っています。

播種の下処理

アガベやパキポディウムの種子とは異なり、パキプスの種子を播種するにはいくつか下処理が必要です。発芽率を上げるためには必要な処理ですので丁寧に作業していきます。

果肉を除去する

まだ果肉がついている種子の場合、水に浸して果肉をふやかして取りやすくします。今回購入した種子には果肉がついていましたので6時間ほど水に浸してみました。

さくらんぼの種みたい (2024.05.12)

水に浸すと果肉がつるりと取れるようになります。キッチンペーパーでやると拭き取りやすかったです。

浸していた種子を取り出した (2024.05.12)
果肉を取り終わったパキプスの種子 (2024.05.12)

ジベレリン水溶液に浸水する

今度は、果肉の中から現れた茶色の殻をもった種子をジベレリン水溶液に浸水していきます。ジベレリンには、休眠打破や発芽促進などの効果が認められているようで、パキプスの実生でも多くの方が利用されていたため参考にさせていただきました。

利用したジベレリン水溶剤
水溶剤に果肉を外した種子を浸水する

ジベレリン水溶剤にも6時間ほど浸水しました。錠剤で入っているので砕いてから溶かしたのですが、もう少し丁寧に溶かしてあげればよかったかな…と反省していたりします。

殻のフタを外していく

ジベレリン処理をしたら、発芽率を上げるためにさらにひと手間加えます。殻のフタ外しです。

パキプスの種子には茶色のフタが付いています。発芽する際には最初に根が伸びてきますが、その根が中から押し出す形でフタを開けます。しかし、フタを開けられるほどの力がなかったりフタが中々外れなくなっていると、せっかく根が伸びてきてもうまく発芽できずに枯れていってしまいます。これがパキプスの発芽率が低くなってしまう原因のようです。

そこで、このフタをあらかじめ外しておいてあげることで発芽率を上げることができます…が、この処理自体の難易度が高めで職人的なスキルが必要です。そう考えると初心者のパキプス発芽率はフタ外しをしようがしまいが往って来いな気はします。笑

フタをきれいに外せた例

ぶっちゃけフタを外すのに集中してしまって写真が少なめで恐縮です。

最初はフタを探すのに難儀しました。正直、初心者にとって一番難易度が高いのはこのフタ探しな気がしています。

この作業のコツとしては、とにかくヤスリで殻を削ることです。果肉を外したばかりでもフタがわかりやすかった種子は 12個あって1個くらいでした。他は「強いて言うならこれか…?」くらいの感じ。ただ、殻を削ることでフタの位置がかなりわかりやすくなります。殻全体を紙やすりでやすってあげることで比較的簡単に楕円形のフタらしきものが見えてきます。

ぼくはフタを外すときの道具として先端が鋭利なカッターナイフを利用しましたが、次回試してみたいのはリューター。シードストックさんがインスタで紹介されていたのですが、リューターなら簡単かつ中の胚を傷つけにくそうだなと思いました。

やっとフタを外し終わった…

もし次回やるならリューターを買おうと思います。カッターでやったら胚を傷つけたであろう種子が2、3個ほど発生しましたし、何より手を切る可能性が高めです。リスクが高い割に開けやすいわけではないので全然おすすめしません。

ベンレート水溶液に浸水する

フタを外した種子をベンレートを溶かした水溶液に浸します。時間は30分ほど。

ベンレート水溶液に浸して殺菌

播種と発芽までの管理方法

ベンレート水溶液に浸し終わったら、後は用土に蒔いていきます。用土はプロトリーフの「室内向け観葉・多肉の土」を6、7割入れたところに、同じくプロトリーフの「盆栽の土」を敷いたものを利用しました。また、播種前には熱湯をかけて殺菌・殺虫しました。

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そのあとは種子のフタを外した部分が上を向くように用土の上に置いていく形で播種していきます。

シードストックによるとパキプスの発芽温度は30℃程度が目安とのことだったので、ヒーターマットの上で管理するようにしました。

播種から1週間後…発芽!

播種から1週間ほど経過して、2つの種子が発芽しました!他の種子は根が動いたものの途中で力尽きてしまったものや、全く動かずにそのまま枯れてしまったものが大半でした。動かなかったものはおそらく胚を傷つけてしまっていたのかなと予想しています。

12個中2個なので大体16%くらいの発芽率でビギナーズラックとはなりませんでしたが、なんとか全滅は避けられましたので、この2つを大事に育てていくことにします。

2つの種子が発芽した (2024.05.20)

パキプスの発芽では、まず根が用土に達すると今度は種子を持ち上げはじめます。そのあと、茎に当たる部分が伸びていき、ある程度の高さになると種子から子葉が出てきます。(右の種子の状態) 子葉が出てくるときに種子の殻が外れますが、本葉はこの時点ですでに生えていました。(左の種子の状態)

鉢上げ

さて発芽からおおよそ2ヶ月ほど経過して葉数も増えてきたので鉢上げをしました。

こちらは鉢上げ前の状態。右側の株は発芽のときにひょろっと伸びてしまったので、それを継続している感じです。照度などの環境はどちらも同じなので個性でしょうか。個性といえば、葉の形が2つの株で若干異なります。成長とともに平均化されてるのか継続するのか気になります。現状だと樹形的にも葉の形的にも左の株が好みかな…。

パキプスに使う用土の紹介

今回のパキプスの鉢上げのタイミングに合わせて塊根用の用土を作成しました。これまでアガベとディッキア用の用土は作ってきましたが塊根用のものは用意していなかったので、Webでいろいろな方が発信されている内容と自分の環境で作りやすいものを検討した形です。

まず今回はじめて使ってみることにしたのがゼオライト。保肥性の向上や根腐れ防止、水質改善などに効果があり、藻の発生防止にも一役買ってくれると耳にしました。藻の発生防止に関しては今回使ってみて本当に効果があるのか試してみるつもりです。藻は植物の生育には問題ないですが、見た目があまり良くないのでどうにかしたいなと思っていたので期待しています。

今回購入したゼオライト

今回作成した用土の内訳は、赤玉 (4) : 軽石 (10) : ゼオライト (1) : ゴールデン培養土のペレット (1) です。アガベの用土では軽石 (10) に対して赤玉 (2) を混ぜているので、それよりは保水性を上げているイメージ。ゴールデン培養土のペレットも保水性があると考えているので、軽石の半分くらいは保水性のある用土を使っているような配合になっているかなと思っています。

用土の配合割合の目安
混ぜ合わせたところ

そして予想外のパワータンクが…

完全に油断していました。…え?パキプスって2ヶ月でこんなことになるの?

きれいなお芋ができていました (2024.08.09)
調子良さそうな株の芋のほうが大きい (2024.08.09)

これはうれしい誤算…!幹がまだ細かったので地中がこんなことになっているとは全く考えていませんでした。やはり、調子が良さそうだった株のほうが塊根が太っています。もう一方は根の先端が分かれていて、将来的にパワータンクを収穫できそうな雰囲気を感じます。

一緒に鉢上げしたエニグマチカムと集合写真 (2024.08.09)

パワータンクを育てるためにプレステラ105の深鉢に植えました。鉢上げで生育環境にゆとりができたと思うので、引き続き元気に育てていこうと思います。

【この記事は植物の成長に合わせて不定期で更新中です】

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